臍ヘルニア
生後間もなくへその緒が取れた後に、おへそがとびだしてくる状態を臍(さい)ヘルニアと呼びます。生まれて間もない時期にはまだ、おへその真下の筋肉が完全に閉じていないために、泣いたりいきんだりして、お腹に圧力が加わった時に、筋肉のすきまから腸が飛び出してきて、おへそのとびだし「でべそ」の状態となります。触れると柔らかく、圧迫するとグジュグジュとした感触で簡単にお腹に戻りますが、あかちゃんが泣いて、おなかに力が加わるとすぐに元に戻ってしまいます。おなかのなかの腸が出たり入ったりする結果です。
このヘルニアは、5~10人に一人の割合でみられ、生後3ヶ月ころまで大きくなり、ひどくなる場合は直径が3cm以上にもなることがあります。当院では早期からの圧迫療法を指導しております。自然治癒も見込める症状ですが、早期に加療することで多くの症例で手術を回避することができます。
口唇口蓋烈修正手術
出生前、胎児期の初期では口唇3つのパート、口蓋は左右2つのパートに分離しています。胎生の4-12週目でこれらが融合し、生まれる時には口唇・口蓋がひとつになっています。
しかし何らかの原因で、まれにこの部分が融合しないまま生まれる赤ちゃんがあります。
このような口唇口蓋裂の発生率は、約500人に一人と、比較的多い先天異常のひとつです。
唇裂の治療には、いろいろな手術方法が考案されていますが、私の母校の昭和大学が全国的に有名です。ていねいに口唇を縫い合わせると、きれいで目立たなくなります。
また唇の運動機能に問題が残らないように、唇の筋肉をしっかりと縫い合わせる必要があります。さらには左右のバランスにも気を遣う必要があり、手術は数回に分けて行うこともあります。哺乳、中耳炎の発症が多い、発語の問題、噛み合わせの異常など多数の診療科にまたがった加療が必要になるため、多くの場合大学病院にて成人まで診療をしていきます。
当院では成人に対する瘢痕の修正手術を行っております。症状の程度によっては自費の加療となる場合があります。
耳介形成異常
耳介形成異常とは、耳以外の外側に出ている部分の変形や欠損の状態のことで、生まれた時にはすでに耳介やその周囲の奇形がある先天性のものがほとんどです。耳介形成異常は様々な形態があり、副耳、袋耳、小耳症などがあります。
いずれも、母親のおなかの中で耳ができる時期に、何らかの理由で胎児の耳の形成がうまくできず、出生時に変形が残ってしまう先天性のものがほとんどです。
先天性の病気であり、明確な原因も特定されていないため、予防が困難な病気です。
ただし、耳介は胎生4~20週にかけて形成されるため、妊婦はこの時期に、バランスの良い食事、規則正しい生活に気をつけ、薬に頼らない健康な体にすることが何よりの予防につながります。
外耳の先天異常は多種多様であり,それぞれに対する形成手術も数多くありますが,変形の種類や程度に応じた手術が必要です。