顔面骨骨折をクリニックで診療するというソリューション🤔
今回のお話は、顔面骨骨折の話です。やや難解な部類に入ります。ご注意ください。
南青山TOKUNAKAクリニックでは、来年年初の移転に伴いCTを導入します。
CTと言っても大学病院にあるような横に寝て撮影するタイプではなく、歯科医院にあるような座って撮影するタイプのコンビームCTというものです。骨の画像の精度の細かさに非常に優れており顔面の細かい骨折の評価に最適です。また放射線の被曝量も単純レントゲンと比較できるくらい非常に少ないため、お子さんの外傷などでも気軽に3DCTという立体画像を撮影できるというメリットがあります。
以前からの私のライフワークでもある、3Dプリンターを用いて骨折部位の早期の確認とプレートの正確なベンディングなども同時に行うことで大学病院でも実施できないレベルの高精度の手術を行う事を目指しております。
最近では顔面骨骨折の中でも、眼窩底骨折という骨折が増えています。眼窩と言われる目の玉を入れておくソケットの様な骨はたくさんの薄い骨が集まって構成されており非常に骨折を起こしやすく。後部座席でのシートベルトの義務化や運転ルールの厳格化でひどい重症の骨折が減った反面、健康ブームでスポーツ人口が増えることなどで増えている骨折です。
眼窩底骨折は比較的に待機手術が可能な吹き抜け骨折のタイプと緊急での手術が必要なお子さんなどに多い線状骨折と2つに大別できます。
線状骨折はスポーツの普及とともに非常に増えており緊急性は求められますが比較的手術は簡単な部類です。ただし骨折した部位に外眼筋が挟まると眼球運動障害が起き、強い吐き気と目を動かした時の痛み(特に上下を向けない)、複視(2重に見える)を生じます。数時間経過すると挟まった筋肉の血流障害が起きるため眼球運動障害、複視が後遺症として残る可能性が出ます。中高生くらいであれば局所麻酔での手術でも対応可能で20分程度で手術が終わります。とにかく早く手術をすることが一番大事なため、一刻も早く病院で診断を確定しスムーズに手術を行うことが大切な疾患です。
吹き抜け骨折は比較的高齢者に多く、待機手術が可能と言われています。眼窩容積を左右対称になるべく近づけることが大切で、ひどい骨折の場合は眼球陥凹(がんきゅうかんおう)という目が奥に引っ込んだ状態になってしまうことがあります。眼球の位置が変化することや、神経の損傷のため眼瞼下垂症を生じることがあります。受傷した当日に手術を行うこともありますが主張が軽快した1週間〜2週間程度目安に手術を行います。そのため比較的どこで手術を行ってもらうか選択の余地のある外傷と言えます。
眼窩吹き抜け骨折は手術を行った後の眼窩の容積を左右で均等にしていくことが不可欠なためこの3Dプリンターを使用した手術には非常に適しております。
重症な症例ではもはや画像診断と3Dプリンターは欠かせないツール!内側壁面と眼窩底の合併骨折に使用した症例では術前にかなり細いかいシミュレーションを行い綺麗にプレートを挿入することができました。以前の手術では不可能であったことがかなり細かい精度で再現でき患者さんの早い回復の一助になりました。
以上難しい症例だからこそ選ばれるクリニックを目指して、南青山TOKUNAKAクリニックでした。