綺麗な傷の治し方💡
形成外科の立場として普段から指導していることですがとっても大事なことなのでこの場で書かせていただきます。
怪我や火傷をした時に傷が残るか残らないか心配になりますよね?
傷になるかならないかの境目は真皮と言われる部分に傷が及んでいるか否かで決まります。ただし傷を負う時点ではどうにもならないことなので今回は省略しちゃいます。
綺麗に治すポイントとしては①早く治す(傷と傷がしっかりとくっついた状態で治す)②日焼けをしない③治った傷を引っ張らない。この3点に尽きます。
①早く治すということ、傷が治りやすい環境を作ることが必要です。切り傷などで皮膚が切れている場合、縫合などをしてもらい皮膚と皮膚の隙間がない状態を作る。火傷であれば有名な湿潤療法ですが創部を適度に湿った環境を作り皮膚の再生を促す。怪我をした場合、傷の中に砂やガラスなどの異物が混入する場合もあるので石鹸などで洗浄後、シャワーなどの流水でしっかりと洗い流します。
この段階は非常に難しい話で、感染や消毒による皮膚障害などの話も関わってくるのでこの段階はお医者さんに診ていただく方が良いと思います。
②日焼けをしない。傷が治り始めた1週間くらいを過ぎると傷は収縮を始め周囲の皮膚より赤みを帯びます。この段階では日焼けをすることにより周囲の皮膚よりも紫外線の吸収が良くなってしまうため色素沈着を起こしやすくなります。創部の炎症が引くまでの時間はかなり個人差がありますが約1ヶ月から6ヶ月程度です。創部の赤みが消える時期をみて判断が可能です。
当院では傷に直接UVカットできるテープを貼っていただき日焼けをしないようにしていただきます。(ただし紫外線は目からも吸収しているため全ての紫外線をカットできるわけではありません。)
③治った傷を引っ張らない。例えば切り傷ですが縫合した皮膚が周囲の皮膚と同じ強さになるまでには約6ヶ月程度の時間がかかります。それまでの間には傷の部分は瘢痕として徐々に引き伸ばされ瘢痕組織という正常ではないコラーゲンの配列になっており、この異常な配列の細胞をいかに増やさないかということが傷の見た目に非常に大きく関わってきます。
そのため形成外科医は傷や手術などで縫合を行う時に真皮縫合という皮膚の下に縫合を行っております。私の場合は約3ヶ月程度で溶ける、吸収糸を用いて真皮を縫合することで傷と傷の間が離れていく瘢痕をできるだけ小さくします。
抜糸が終わった1〜2週間目からはテープにて傷を固定し、瘢痕が引き伸ばされていくことを予防します。UVカットのテープで行うことで②③は同時に行っていることになります。
上の写真は私の膝のアップです。幼少期にぶつけたできた傷です。カサブタを剥がし続け(①に反しています)、膝の関節で傷が引っ張られ(③に反しています)当初は真っ直ぐな傷でしたが丸い円形の瘢痕組織となっています。非常に悪い見本です。幸いなことにインドア派であったため色素沈着はありません。
細かいことはかなり省いていますが、これらのことを守っていただくことで傷跡がなるべく目立たない綺麗な傷に仕上がります。
それでも傷跡が目立つようになってしまった場合はなるべく早く専門家に相談しましょう🤕