綺麗な傷の治し方②

今回は綺麗な傷の治し方第2弾です。今回はテープ固定と縫合の違いについて説明していきます。

「なるべく縫わないでください。」救急外来などで時折そういうお願いをされる場合があります。当院ではハイそうですかとテープでの処置に切り替えておしまい。という対応はしておりません。なぜそうして欲しいのかを確認ししっかりとメリット/デメリットがわかって頂いている患者さんであれば患者さんや保護者の方の意見を尊重しテープなどの治療を行います。

それでは傷を綺麗に直すためには何が必要かを考えていきましょう。

理想的な傷は、切った断面がスパッと鋭利に切れていて皮膚同士がピタリとくっついている必要があります。ピタリとくっついている傷は一次治癒といって治った後に瘢痕組織の少ない綺麗な傷に仕上がります。逆を言うと傷と傷の間がギザギザだったり間が開いていると二次治癒といって治った後に瘢痕組織が多くテカテカした傷跡になります。

中央のテカテカした部分は二次治癒した瘢痕

テープでの治療と縫合とはどう言う風に治り方に差があるのか。それぞれの治療にメリットとデメリットがあるので説明していきます。

テープでの治療の特徴

テープでの治療は縫合の代わりにテープで傷を寄せることになるので初回の処置以降は傷がしっかりくっつくまで同じテープで固定を行うか剥がれても短時間で貼り直す必要があります。基本的に洗ったり、交換することは想定しておりません。もともと傷同士がピタリと合っている怪我や大人で傷の管理がしやすい場合には短時間で済み、麻酔もいらないと言うメリットがあります。汗をかきやす部位や目尻であったりテープが剥がれやすい部位には向かない治療です。

縫合での治療の特徴

縫合での治療は、多少時間がかかります。局所麻酔が必要です。赤ちゃんなどで動き回る場合には縫合時に適切に押さえつけるなどの工夫が必要になります。メリットとしては基本的には創部は洗うことができます。又絆創膏などが一時的に剥がれてしまっても傷はしっかりと糸で固定されているため綺麗に治る確率が高くなります。傷がギザギザであれば傷の周りを切除し綺麗な切り口にすることによってさらに綺麗に治る確率が高くなります。

テープでの治療→短時間、痛くない、剥がれてしまうと意味がない        縫合での治療→時間がかかる、麻酔が痛い、その後の処置はあまり気を使わないというイメージです。

患者さんが納得していればどちらの治療でも良い!

どちらの治療においても表面がくっついたあとも傷は瘢痕として徐々に引き伸ばされていくため綺麗に治すためには術後のテーピングで傷を寄せておく、遮光をしておくことが必要になります。

以上のことを踏まえて救急外来などにおかかりの際にはどちらの治療をするか相談してみて下さい。