眼瞼下垂症手術の実際

南青山TOKUNAKAクリニックでは、開院当初より眼瞼下垂症手術に力を入れております。

眼瞼下垂症のチェック方法や、眼瞼下垂症全般については以前の記事を参照してください。

今回は私が担当させていただいた患者さんの写真とともに手術時に気をつけている事をいくつか紹介します。

まず気をつけている事です。

①年齢相当に仕上げる事。皮膚を取り過ぎないことが重要です。患者さんによってはなるべく二重の幅が広がるようにと過剰な皮膚切除を要求される患者さんがおりますが二重を作るラインでの過剰な皮膚切除は二重の部分の折り返される皮膚の厚みが多くなり不自然に厚ぼったい二重を生じます。皮膚切除量が多くなる場合は眉毛の下で皮膚を切除する追加手術を行っております。

②合併症を作らない。眼瞼下垂症の合併症の1つにドライアイの悪化、角膜損傷などがあります。兎眼といってまぶたが十分閉じられないなどの状態で手術を終えると角膜に傷が付くことがあります。

③その人らしさを失わない自然な仕上がりを意識する。これは①にも繋がりますが眼瞼下垂症の手術後は基本的に二重になってしまいます。もともと奥二重であったりする人においてはあえて奥二重っぽく仕上げることもあります。自然な仕上がりであり、患者さんとしては非常に瞼の空きやすさを自覚されるため術直後から好評をいただいております。ただし術後1週間は腫脹があるため過度な運動は控えていただく必要があります。

実際の症例

写真を供覧いたします。60代の女性です。術前の写真です。左が通常の状態、右が眉毛を抑えた状態で開眼していただいた写真です。

普段から眉毛を強く挙上して開瞼しており前額部にはシワを自覚していました。眉毛を上げられないように手で押さえると瞳孔(目の中心)から上眼瞼までの距離は1.5〜2mm程度になってしまい視覚の上の方が見づらい自覚症状がありました。

術後19日目の写真です。手術当日から瞼の開きやすさを自覚していただけました。写真では自然開瞼位にて前額部にあった深いシワが薄くなり始めています。筋肉の使い方が変わり始めている証拠でもあります。右の写真は眉毛を挙上できないように軽く押さえた写真です。術前に比べ瞳孔(目の中心)は完全に露出し、角膜(いわゆる黒目と言われている部分)は上1/3が瞼に隠れる程度に挙上されています。

術後19日目のためまだかなり腫れが残っていますがメイクなどは可能で外出などには苦にならない程度に腫脹が改善しています。

眼瞼下垂症の手術において患者さんが最も自覚しやすいデメリットは腫脹です。

特に術後1日目は特に腫脹が強く、切開式重瞼術などと比較しても圧倒的に腫脹が強く出るために注意が必要です。腫脹は術後24時間をピークとして徐々に軽快し1週間程度で抜糸を行う時期にはかなり改善しアイメイクも可能になります。

ではどれくらい腫れていたのか?

術後1週間 自然開瞼位

術後1週間の写真です。下瞼は今回手術をしていませんが眼輪筋という目を閉じる筋肉は目の周囲をぐるっと取り囲んでおり出血が皮下で広がっています。下眼瞼に赤い出血のラインと既に黄色く変色している部分が見えます。この時期は外出を控えあまり人に会わないようにしていたそうです。

その他の合併症

瞼は非常に繊細な器官です。数mmの開瞼の具合でドライアイが悪化したり、瞼が痙攣を起こしたり様々な合併症を生じる可能性があります。当院では通常、術前、術後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後と眼科診察をしており角膜損傷やドライアイの合併、涙の流出の問題が起きていないかなど細かな診察を行い合併症を未然に防ぐ努力を行なっております。

以上当院における眼瞼下垂症の実際を報告させていただきました。

手術方法の細かな改善により近年腫脹の少ない手術を実現できるようになってまいりました。より良いQOL(Quality of life) とともにQOV(Quality of Vision)を追求する時代です。皆様が手術などを検討する際に少しでもお役に立てれば幸いです。

また写真の掲示に際し快諾していただきました患者さんには大変感謝申し上げます。