この傷跡なんとかなりますか?😥(ケロイドや瘢痕の話)

形成外科をしているとよく聞かれる質問です。

傷跡は適切に治療を行えば現在の状況から改善し目立ちにくくなる場合があります。それぞれの状態に応じて治療が変わってくるため大きく分類し治療法をご紹介します。

①ケロイド、肥厚性瘢痕という状態の場合。②長い傷が顔面やその他の関節部位などにあり動きの制限がある場合。③単純に見た目が悪い場合

①②は保険適応の治療がメインです。③は保険が適応される場合もありますが個々の症例により自費診療になる場合が多いです。

今回は非常に専門的な内容になり長文になります。①についてのみまとめてみます。

①ケロイド・肥厚性瘢痕ですが、もともと小さな傷や外傷の自覚のない部位でもニキビや虫さされの後が徐々に盛り上がり、痛みや痒みが出る疾患です。人種、体質や部位によりできやすい部位があることがわかっています。手術やステロイドの注射、電子線療法を組み合わせ治療を行います。

胸部のケロイドは比較的症例が多くありますが、このように大きなケロイドは痛みも強く普段から痛みや痒みの症状があります。この写真のように左右の部分が太くなり徐々に拡大し大きくなっていく特徴があります。胸部の筋肉の動きに合わせ、ケロイドが拡大していくことでこのような典型的な形になっていきます。定期的に注射を行うことで赤みは薄れ徐々に盛り上がっている高さも低くなっていき最終的にある程度の平な状態となり、痛みや痒みが軽減できます。

帝王切開後の瘢痕がケロイドになり痛みや痒みがあるなどという方は授乳中はステロイドの注射などの治療ができませんが早期からテーピングや保湿の治療を開始することで悪化を防ぐことが可能です。

手術に関しては治療を急ぐ症例やケロイドの再発傾向の低い方や部位によって選択となる場合があります。安易に手術のみを選択すると再発の原因になりますので、傷の部分の延長をはかり術後のケアもしっかりと行なっていく必要があります。

こちらはピアス後のケロイドの方ですが徐々に拡大していくケロイドの痛みと、見た目の悪さを心配していました。手術で切除し再発なく、見た目もだいぶ綺麗になりました。

このような方々からよく聞かせていただくのはどこの診療科に見せれば良いかわからず長年悩んでいたという話です。お近くに形成外科のクリニックや病院がないという方もおられると思います。まずは皮膚科の先生に相談いただき、お付き合いのある形成外科を紹介していただくということが良いのではないでしょうか。

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②③については今後記事にまとめていきます。最後に症例の写真を公開するにあたりご協力いただきました患者様に感謝申し上げます。一人でも多くの方が拡大していくケロイドに対する不安や傷跡に対する悩みから解放されるように今回の記事を書きました。また続きをぼちぼち書いていきますの楽しみにお待ちください。