眼瞼下垂症手術のあれこれ🤭

今回は私が行なっている眼瞼下垂症手術の注意点的なことをまとめます。

一般的には全く必要ない知識ですので一般の方に向けてではなく眼瞼下垂症手術に携わり始めた若手のDrやこれから形成外科に入局するレジデント向けの内容です。

眼瞼下垂症の手術では手術法を決定していく上でいくつかの分岐点があります。

①大前提として先天性なのか、腱膜性眼瞼下垂症なのか、重症筋無力症などの内科疾患がないか

②挙筋機能が十分に残存しているのか

③自律神経症状の訴えの程度はいかがか

①に関しては先天性なのか腱膜性なのかくらいわかるわい!と思いますが詳細な既往歴を確認せずに安易に手術を行なっていると見逃す危険性があります。重症筋無力症も同様に疑わしい場合にはアイスパックテストや抗アセチルコリン抗体の検査を行なってください。挙筋前転術をそもそも行うべきかどうかという判断に関わります。

②挙筋機能が十分に残存しているか?ですがこれは非常に難しい問題だと思います。機能の評価には角膜反射から上眼瞼の瞼縁までの挙上の距離であるmargin reflex distance(MRD-1)を用いますがMRD−1と挙筋機能の相関は重症例では経験上そこまで比例しないと思われます。腱膜がスムーズに動くもの(瞼板から外れているが筋力はしっかりあるもの)とそもそも腱膜の引かれる動きが非常に弱いものを術前に把握することが難しいからです。腱膜がスムーズに動くものはしかるべき位置に挙筋腱膜を再固定ができれば余計な操作は必要なく、軽度の眼瞼下垂症や中等度の眼瞼下垂症のほとんどがこれです。一方で腱膜の引かれる動きが弱いものでは開瞼抵抗となる眼瞼挙筋腱膜の横方向(鼻側、耳側)のlateral hornやlower positioned transverse ligament(LPTL)を切開し、開瞼を促した時に十分スムーズに挙筋腱膜が引かれることを確認します。この時点でしっかり開瞼抵抗を除去したにも関わらず十分な腱膜の動きが得られない症例では(症例の数は多くはない)、閉瞼ができる範囲で腱膜を固定し、吊り上げ術へ移行します。

中等症以上患者さんの中で開瞼抵抗をとる必要があるかというところは意外とクリニックレベルでは重要だと思います。この手技が入ると入らないのでは腫脹の程度がかなり違うからです。術前にある程度の腫脹を覚悟してくださいと言われて手術を受けるのと、そこまで腫脹は強く出ないので早めに手術を行いましょうと言われて手術をするのでは患者さんとしても心構えが全く違います。

手技の違いによる腫脹の程度をお見せします。

30代女性 軽度の眼瞼下垂症 (MRD−1 3〜3.5mm程度)

術後1週間の時点では多少の腫脹はありますが、アイメイクも可能で二重切開術程度の腫脹です。術後1ヶ月の時点ではほぼ最終的な見た目になっています。

60代女性 中等度の眼瞼下垂症 (MRD-1 2mm程度)前述の開瞼抵抗をとる施術をした症例

こちらの症例では術後1週間の時点では下眼瞼の周囲に出血斑がしっかりと出ています。術後の19日目の写真では出血斑は消えていますが瞼縁の腫脹が残存しています。

見ていただいた様に術中の手技の違いで腫脹の程度にかなり差があることがわかります。

③自律神経症状の訴えの程度。最近の眼瞼下垂症手術の認知度の上昇によって、睡眠障害やうつなどの症状や肩こり、顔や目の周囲の過緊張など様々症状を訴えられる場合があります。この場合もちろん視機能に問題がなければ手術は勧めません。術前にある程度、様々な愁訴があるかどうかを確認しておくことは、ミュラー筋をある程度触るかどうかの判断をすることができると考え、一応心の片隅に入れています。例えば②で触れた開瞼抵抗をある程度解除した時点であとほんのちょっとだけ腱膜の反応が欲しい時にミュラー筋の再固定をすると非常によく改善する症例があるからです。また以前の埋没手術などで眼瞼痙攣が出ているなどという方は逆にミュラー筋を外してしまう場合もあります。この辺はまだevidenceが揃っているとは言えない分野ですので今回はこのくらいに留めておきます。

あとは審美的に最終の二重のラインを綺麗につくるテクニックなど細かな点は無限にありますが大前提でこれくらいの知識があればあとは組織を正確に見極める目力を鍛えれば手術が可能です。

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