埋没二重法をしたら眼瞼痙攣になった

これまで数回、ブログ内で眼瞼下垂について触れてきました。

今回はこれを知らなきゃ美容外科をやって欲しくない!そんな埋没法に関連した注意事項です。最初にまとめると「軽度の眼瞼下垂症のある方に埋没法はちょっと危険です。」という話です。

軽度の眼瞼下垂症の患者さんは世の中に非常にたくさん存在します。特に若年女性の間でカラーコンタクトやデファインなど様々なコンタクトが流行り、まつ毛エクステが流行り、瞼に対する負荷は年々強まり眼瞼下垂症の発生は若年化する傾向にあります。

また一方で美容医療の価格競争により非常にお手頃な金額で二重手術などを受けられる環境になってきました。それ自体は非常に良いことでもありますが、軽度の眼瞼下垂症の症状により瞼がぱっちりと開かないと言った状況で埋没法を行うと眼瞼の痙攣を発症する方がいるのです。

これは経験年数の多い医師では診察は容易ですが患者さんや若い医師では少し難しい病態です。そもそも眼瞼痙攣という名称がややこしく、通常みなさんが頭に浮かべる瞼がピクピクするというのは眼瞼ミオキミアという症状で、眼瞼痙攣とは全く異なる病態です。眼瞼痙攣になると患者さんは自分の意思に反して目を閉じてしまったり、目を閉じていた方が楽、まぶしく感じるなどという症状が出ます。症状が進むと指で押し広げないと目が開かないなど重篤な症状となる場合があります。

なぜ眼瞼痙攣が起きるのかということですが、一つの理由として瞼を持ち上げる筋肉の一つであるミュラー筋(下図のピンク色の部分です)という筋肉が関係します。この筋肉は平滑筋という分類にあり腸管などの不随意で動く筋肉に似ており、周囲の筋肉の緊張などを自律的に調整している可能性が指摘されています。この筋肉に余計な負荷がかかると眼瞼痙攣が起きやすくなるとされています。腱膜性眼瞼下垂症が悪化することや埋没法によって筋肉に糸が埋め込まれてしまう事によって痙攣が発症する症例が少なからず存在することが最近の研究でわかってきております。当院でも埋没法を昔していてだんだん目が開けづらくなった、車の運転が怖いなど実際によくある相談の一つです。

眼形成外科 虎の巻 柿崎裕彦先生著より抜粋
赤丸:埋没法でかけられる糸模式図

いったん埋没法により眼瞼痙攣が発症した場合は埋没糸の除去をします。それでも痙攣が軽快しない場合、ミュラー筋の緊張を低下させる手術を行う必要があります。

ご自分の症状が眼瞼下垂症・眼瞼痙攣かもと思い当たった方は専門医への受診をお勧めいたします。

南青山TOKUNAKAクリニックでは他院で埋没法を行ったという症例でもリカバリー手術を行っております。上記の症状などが思い当たるなど心配な方は気軽に相談ください。